「あなたの心が見えなくて」高倉知子先生感想。

今回は高倉知子先生「あなたの心が見えなくて」（原作：ジーナ・グレイ）を紹介します。

個人的オススメ度：★★★★☆（３．５）

高倉知子先生は前に「嘘つきな薬指」を紹介しました。
今回のお話は未亡人の主人公と会社の副社長であるプレイボーイのヒーローとのラブロマンスです。

あらすじはこちらです。↓

ダーク・マシソン、アリサの会社の副社長は全女性社員の憧れだった。有能でミステリアス。モデルやセレブ美女と浮き名を流すくせに交際期間は２週間ともたない。地味な社長秘書のアリサと彼に、接点などないはずだった。そう、あの晩彼に声をかけられるまでは。やがて交際を経て、彼から急すぎるほどのプロポーズを受けるが、その言葉は衝撃的なものだった。“僕と結婚するなら子供は諦めてほしい”と。それでもアリサは愛ゆえに彼を受け入れるが？

ハーレの未亡人ヒロインって既読のものでは『大恋愛の相手を喪ってどうにもならない喪失感の中生きている』みたいな話が多かったです。
なので、立ち直りつつあるヒロインが新しい恋愛をつかむお話は新鮮でした。

少しずつ夫を亡くした悲しみを乗り越えてきた未亡人のヒロイン。
それまで意識していなかったヒーローの魅力に気づき、恐れを感じるようになる、という経緯。
何となくですが、わかるような気がします。

夫を亡くしてから新しい恋をするまでの1年という期間。
長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれなんでしょうね。
個人的には3年くらいあってもいい気がしますが、欧米の感覚では普通なのかもです。

ネタバレですが、女性からすると理解しがたい台詞をヒーローが口にしますが。
わたしはヒーローの心の傷を考えると薄情とは思わないです。
それくらいヒロインもヒーローも素敵に描かれていると思います。

キャラクターに文句を言うとしたらヒロインの同僚達ですかね。
こういうかしましい女友達の集団って好きじゃないなと思っていたら、途中案の定余計な発言でヒロインを傷つけていて。
悪意ない感じが余計イラッとしました。
彼女達を恋のきっかけを作ってくれたからまあいっか、とはあまり思えないです。

全般的に読みやすくまとまっていると思います。
ただ、描き方によってはもっとドラマティックになるかもと少し残念な印象があります。
視点がヒロインでお話が展開していく原因がヒーローの心の傷が原因だからなのかな。

心理描写が少ないわけじゃないのでこれ以上描くとくどいかもしれないけど、波乱万丈な割に淡々とお話が進んでいるような印象がわたしにはあって。
テーマが重いから荻丸雅子先生のお話みたいに心の琴線に触れまくる感じがほしいのかもしれません。

減点要素もないけど加点要素がもうちょっとほしいので、点数辛めかもですが星３．５です。
高倉知子先生の絵柄が好きなので期待値が高すぎるのかもしれませんが。
また別の作品も読んでみたい漫画家さんです。