「個人秘書の告白」狩野真央先生感想。

今回は狩野真央先生「個人秘書の告白」の（原作：ハイディ・ベッツ）を紹介します。

わたしは電子書籍派なのですが、ハーレのいいところはどこのサイトでも３０～５０ページの立ち読みができるところ。
８割方立ち読みで我慢するのですが、はしょっぱなから先が気になって即購入でした♪

個人的オススメ度：★★★★★（５．０）

以下あらすじです。↓

私のデザインしたドレスがライバル会社から発表された!?　３姉妹でファッションブランド＜ザッカーロ＞を経営するリリーは驚いた。いったい誰が、どうやって盗んだの？　リリーは潜入捜査のために身分を隠し、変装してライバル会社ＣＥＯの秘書として雇われる。ボスのナイジェルは老舗を守る御曹子というだけでなく仕事に情熱を捧げている。こんな人が盗作を？　ヨーロピアンの雰囲気ただよう洗練された美形の彼に、リリーはいつしか心惹かれていってしまい…!?

ちょっとミステリー要素が入ったお話ですが、舞台がファッション業界なのでとても華やか。
ボスはイケメンで仕事熱心で紳士、そして少しシャイな感じがたまらないです。
絵もキレイで細かいけどすっきり見やすいです。

ハーレの漫画家さんって少女漫画家出身の方も多いんですよね。
線が細くて描きこみすぎてごちゃごちゃした感じの絵とかもあって。
それはそれで味があるもの、わたしはすっきり見やすい画面が好きなので、そこもツボでした。

ハッピーエンドラブロマンスという大前提があるハーレクイン。
お話によってはご都合主義ヒロインとか俺様ヒーローとか登場人物に共感が持てないものも残念ながらあるのですが。
このお話はヒロインもデザイナーとしてのプライドを持っており、ヒーローも老舗ブランドの３代目としての責務を果たそうとしています。
設定こそ派手ですが、地に足の着いた大人同士の恋愛という感じで好感が持てました。

理性的な大人の部分とある種本能みたいな恋する気持ちのせめぎあい。
大人の恋愛ならではの葛藤ですよね。

ネタバレになりますが、ヒロインはヒーローに惹かれながらも内偵を続け盗作の証拠を掴みます。
それがヒーローの指示なのかがわからないまま、ヒーローに内偵の事実を知られてしまいます。
ヒロインに惹かれながらも、ヒーローもヒロインを産業スパイかと疑っていたのです。

真実を打ち明ける機会はなかったのかとヒロインを詰るヒーロー。
『自分と寝たのも不利になるから怖かったのか？』と、ヒロインの気持ちを誤解してしまいます…。

お互いに惹かれあいながらも職業人としてのヒーロー、ヒロインの自分の守るべき尊厳からこじれる関係。
どんなに惹かれあっていても、そこは人として譲ってはいけないところでもありますよね。
そして、譲れないからこそヒロインはヒーローのもとを去り、ヒーローは真実を追求したどり着くという展開が読んでてとてもすっきりしました。
いやー読み応えがありましたね。

若いころの恋愛感情だけで突っ走れる恋愛もいいですが、
理性を持った大人が衝動を抑えようとしながら止められない気持ちに惹かれます。
それがハッピーエンドになるなら最高！

ハーレはそういう夢を見させてくれるある種のファンタジーだなあと思います。

評価は５．０。
折に触れて読み返す名作で、今のところ狩野先生の作品の中で一番好きな作品です。
ミステリー要素、ファッション業界ものが好きな方には特におすすめします。

また、関連作にヒロインのお姉さん＆ヒロインが真相解明のために依頼した探偵とのお話「キスもくれないプロポーズ」もあります。
こちらはお姉さんの暴走？　がちょっと痛い作品ですが、興味のある方は合わせて読んでみてもいいかもしれません。