「二人で見る夢」くぼた尚子先生感想。

今回はくぼた尚子先生の「二人で見る夢」（原作：マーナ・マッケンジー）を紹介します。

個人的オススメ度：★★★★☆（４．０）

ハーレのお決まりの豪華絢爛で派手なお話もいいですが。
このお話みたいにしみじみと癒してくれるお話がもっと増えてくれたらいいなと思ったりします。

あらすじはこちらです。↓

アンナは別荘の管理人として気ままに暮らしていた。このまま行けば密かな夢もかなえられるはずだ。ところが突然、もち主のドノヴァンが別荘で暮らすことにしたと言う。職を失いたくないアンナは家政婦として雇ってほしいと懇願した。けれど、そもそもドノヴァンの目的はひとりになることだった。彼にはそうするべきつらい理由があった。だからこそ、なぜか心をかき乱すアンナを追い出したかった。ふたりの思惑はどこまでもすれ違い、ついに衝突する日が訪れた！

ヒーローは心に傷を負って１年半ほど人を避けるように生活をしており、買ったまま一度も訪れることのなかった別荘で暮らすことにします。
ヒロインは恵まれない幼少期を経て、別荘の管理人をしながら夢を叶えようとしています。

痛みを抱えながら夢を叶えようと生きるヒロインは、ヒーローに惹かれながらその悲しみに寄り添います。
ヒーローもヒロインの夢とそれを望む理由を知り、止まっていた時間を少しだけ動かし始めます…。

お話は淡々と進むし正直地味なお話。
ですが、辛い過去を経て自立しているヒロインが傷ついたヒーローに慎み深く寄り添う、押しつけがましくない愛情に好感が持てました。

ところどころに胸に迫る台詞があり、ヒロインの過去に心を痛めるヒーローにごく自然に言ったヒロインの言葉が胸に響きました。
クライマックスでヒーローの元に集まった人たちの言葉も、ヒーローの心を癒し前に進める力となったことだろうと思います。

くぼた先生の絵柄はあまり派手さがないですが、かえって感情の機微を丁寧に描いたお話と絵柄がマッチしていて、とてもよかったです。

評価は４．０。
目を引く派手さはないけれど、また何度も読み返したくなる作品です。