「臆病な救世主」篠崎佳久子先生感想。

今回は篠崎佳久子先生「臆病な救世主」（原作：マリオン・レノックス）を紹介します。

個人的オススメ度：★★★★☆（４．０）

このお話はヒーローの仕事が特殊で、あらすじを読んで気になったところから立ち読みし引き込まれました。

あらすじはこちらです。↓

油田専門の消防士という危険な仕事をしているトムは、休暇旅行に向かう途中、犬を避けて衝突事故を起こしてしまった。相手は天使のように美しい妊婦！　そして事故の原因となった犬も妊娠中だった。トムは女性と犬の世話をするはめに。彼女はたったひとりで農場を切りまわしているという。夫の姿も見当たらず、何か事情がありそうだ。トムはひとりと1匹の出産を手伝おうと決意した。誰かと深くかかわるのは、彼がずっと避けてきた状況だったにもかかわらず…？

ヒーローは上司に勧められ取った休暇で旅行に向かう途中、犬を避けて事故を起こしてしまい、衝突した車の運転手もその犬も妊娠中。
まさに漫画だなと思ったら、彼女の農場にはさらに妊娠した牛まで。
犬・人・牛のお産三連発という珍しいお話です。

ヒロインは子どもたち（双子です）の父と結婚するも、実は農場目当てで騙されており、彼が多額の借金を抱えていたことが判明。
ヒロインが自らの財産の保全手続きをし、離婚届と自己破産の書類を渡した夜、彼はヒロインをめちゃくちゃに殴り出ていった後に事故死。
ヒロインは彼の作った借金を返すため家財を売り払い、医師にもかかれないほど苦しい生活をしています。

対するヒーローは、その特殊な仕事の性質上、お金はたまるものの定住もせず暮らしています。

積極的に人と関わることを避けてきたヒーロー。
ですが、ヒロインの苦境とそれに前向きに立ち向かうヒロイン自身を放っておけず。
彼女を助けるためについには結婚することに。

お話が進むにつれ、ヒーローが休暇を勧められた理由やヒーローの心の傷が明らかになっていきます。
それがどう展開していくのかはぜひご一読いただきたいと思います。

篠原先生の絵って人物と背景の境界が曖昧で、絵としては完成されているけれど漫画としては読みにくい印象だったんです。
個人的な感覚なのでご理解いただけるかわからないのですが。
人物も背景も自然に収まっているけれど同化しちゃっているというか、人物にフォーカスすることをちょっと意識する必要があるんですよね。

でも、このお話をきっかけに読むようになり、今では新作チェックする先生の一人になっています。
何でも食わず嫌いは良くないですね。

評価は４．０。
全体的にとても穏やかにお話が進み、ヒーローの優しさやヒロインの前向きさが光る、読後感のいいお話です。